軽視されがちな「ほぐし」でお米に水分の膜をはる

前回はあまりにもゆるい内容になってしまい、反省している次第です。
今現在、38文字目を書いている段階では、真面目に書いていこうと考えております。ほんとです。
今回は、意外と飲食店様でも軽視される事の多い、「ほぐし」と「盛り付け」
について書きます。ご家庭での炊飯器でもやり方は一緒なので、ぜひ頭に入れてほしいです。お米の炊飯ってちょっとの事が大きな差になります。

とある食堂のお話

「お昼ご飯はだいたい外だよ」というビジネスマンの方は多いかと思います。僕の中では勝手に「新橋スタイル」と呼んでいます。当社は飲食店向けの米卸業者なので、お昼はお取引先の飲食店に行く事が多いです。その日はたまたま最近お取引を始めて頂いた老舗の食堂にお伺いしました。生姜焼き定食を注文。沖縄の定食なので、ご飯は大盛りです。問題はそのご飯にありました。固いお米と、べちゃっとしたお米が混在していました。いわゆる炊きムラですね。後日配達に伺った際に、炊飯工程を聞いてみました。

蒸らしたら、、、ほぐさなきゃっ

お米を炊いた後、蓋を開けずにしばらく放っておく、「蒸らし」が必要なのは有名だと思います。「赤子泣けどもフタ取るな」という言葉もあるぐらいです。その食堂でも「蒸らし」工程はちゃんと行っていましたが、問題は「ほぐし」をやってなかった事でした。底の深い鍋で大量に炊いていたので、底の部分までほぐす事をしていませんでした。お客様に出していく表面の部分のみほぐし、量が減っていくとまた表面だけほぐすというのを繰り返していました。そのため、うまく全体に水分が行きわたらず、固いお米とべちゃっとしたお米のコラボレーションが生まれてしまったわけです。

釜内部の温度が高いうちにほぐさないといけない

釜内部の水分をうまくお米に浸透させるため、温度が高いうちに「ほぐし」を行う必要があります。お米が炊き上がると当然釜内部の温度は徐々に下がっていきます。「蒸らし」工程があるので、炊き上がってすぐにフタを開けてほぐす訳にはいきませんが、「蒸らし」が終わったらすぐに「ほぐす」という事です。お米の量が多ければ多いほど、蒸らす時間が必要なので、一概には言えませんが、炊き上がってから10~20分以内にほぐします。高温の状態でほぐす事で、お米の表面に水分の膜がコーティングされ、口当たりが各段に良くなります。しかも時間が経っても、水分の膜はちゃんと残ります。これはご家庭の炊飯器でも一緒です。

盲点になるのが予約炊飯

予約炊飯、、、便利ですよね。僕も家でよくやります。ここでやりがちなのが、例えば朝ご飯。だいたい朝6時くらいに合わせて、炊こうと思ったら、「ん?待てよ?早めに目が覚めてしまった場合、お腹が空くかもしれないから、5時に設定しておくか」、、、、、、。しかしそれだとほぐす時の温度が下がってしまっています。ほぐしても水分の膜ができません。ぜひ6時に食べようと思ったら、5時50分に設定してください。「一時間前に設定する人なんていないよ~」と思うかもしれませんが、実際僕も昔はやっちゃってました(笑)

その食堂はどのように解決したか

深い鍋で炊いた後、寿司屋さんにあるような木製の桶にお米を移します。桶は底が浅いので素早くほぐし、保温ジャーに移すという工程に変えて解決しました。結構面倒ではありますが、良いご飯はお客様の満足感につながります。ひいては売上につながります。(^^)
お米のための桶

ほぐしが大事なことまとめ あと盛り付けについて

いかがでしたか?言いたい事はただ一つ。アッツアツのうちにほぐすという事。それでお米の表面に水分の膜ができ、口当たりが良くなります。しかも、時間が経っても水分の膜は持続。もちろん炊飯工程は細かい作業が他にもあるので、それをおろそかにすると、上手く炊けません。また次の機会に書きたいと思っています。少なくとも1584文字目を書いた、今の時点ではそう思っております(笑)
最後に余談ですが、お米をお椀に盛り付ける時に、しゃもじを返して盛りつけてはいけません。炊飯器にしゃもじを入れるとどうしてもしゃもじに触れている面はフラットになります。しゃもじを返してお椀に入れていくと、お米が裏返り、フラットな面が上にきてしまう事になります。そのため、最初の口当たりを損なってしまいます。しゃもじを返さず、お米がひっくり返らないよう、しゃもじを少しだけ傾けて、置いていくように盛りつけていきます。また、一杯分を一気にしゃもじですくうのではなく、何回かに分けて空気を含ませながら、お椀に入れていきましょう。それでは、また(^^)


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